RECURRING LOOP · 関係

もめごとを伏せておく

「大したことない」で済ませてきたことは、本当に大したことではなかったのでしょうか? 衝突を伏せておくのは平和を守ることのように見えます。けれど伏せた衝突のせいで、あとでもっと大きく言い争うことになります。

もめごとを伏せておくはなぜ繰り返されるのか

雰囲気が気まずくなるのが嫌で、言ってもけんかになるだけだと思って、あるいは本当に大したことではないと思って、私たちは衝突を伏せておきます。伏せたあと、関係は外から見ると穏やかです。問題は、伏せておいた衝突がなくならないことです。同じことで何か月もたびたび気まずくなり、ある日ささいなきっかけで、古い不満まで一度に持ち出すことになります。

衝突を伏せる形は、大きく三つあります。一つ目は、雰囲気を守るために伏せる人です。自分が嫌な思いをすることより、その場の雰囲気を先に気にかけるので、和やかさの代償を一人で払います。二つ目は、先に緊張してしまう人です。衝突の気配が見えただけで心臓がどきどきして、考える前にもう避けています。三つ目は、本当に何とも思っていない人です。おおらかなので嫌なことを嫌だと感じないのですが、問題は、相手が嫌な思いをしていることまで「大したことない」とやり過ごしてしまうことです。

この文書は、衝突を上手に起こす方法ではなく、衝突を適切に扱う方法を扱います。伏せておいていいことと持ち出すべきことを分け、持ち出すべきことは小さいうちに少ない負担で片づける方法です。衝突そのものが問題の場合(けんかのパターン)には、関係の衝突の繰り返しの回が合っていて、この文書は、衝突を始めることさえしない人のための文章です。

もめごとを伏せておくにも種類があるのか

タイプひと言の場面
雰囲気を守るために伏せる“雰囲気が先”
もめたくなくて避ける“先に緊張してしまう”
大したことないと流す“不快さを大きく感じない”
TYPE 1 · 雰囲気を守るために伏せる

もめごとを伏せておく 1つ目のタイプ · 「雰囲気が先」

このタイプのもめごとを伏せておくはなぜ生まれるのか

この人は嫌な思いをしても、それを口に出したら今の雰囲気が悪くなると、まず感じます。そのため知らず知らずのうちに、言わないほうを選んでいるのです。その場の雰囲気を良く保つことを、ひそかに自分の役目だと思っている人です。関係がゆっくり離れていくことより、問題を持ち出す瞬間の気まずさのほうを、大きく怖く感じます。一度「いつも笑ってくれる人」「気楽な人」として知られると、その役を自分からやめるのがますます難しくなります。ここで少しでも真顔になったらみんなが驚きそうで、その驚いた顔を見るのが嫌で、また笑ってしまうのです。そうして我慢した不満を、この人は忘れられません。笑っていても、内心ではますます不満を募らせていくのです。外からは何事もない関係に見えても、内心では相手から少しずつ気持ちが離れていきます。対立するのが怖い人とは違います。この人は怖いというより「雰囲気を守らなければ」という責任を先に感じ、最後まで大きく怒ることもありません。怒っていいはずの気持ちまで和を保つために我慢してしまうので、一度も大きな声を出さないまま、相手への気持ちだけを失っていきます。嫌なことをまったく感じない人とも違います。この人ははっきりと不満を感じています。感じていながら、その気持ちよりその場の穏やかさを先に気にかけているだけです。

どんな場面で現れるのか

恋人がいつも同じやり方で不満に思うことをしても、その瞬間は表情を和らげて「大丈夫」と先に言います。指摘したら楽しかった夜の雰囲気が気まずくなりそうで、不満は口にせずにやり過ごすのです。職場で同僚が失礼なことをさらりと言っても、一緒に笑って流します。ここで真顔になったらチームの雰囲気が気まずくなるので、笑顔で受け止めておき、背を向けてから一人で、その同僚から少し気持ちが離れます。チームの会議で別の方向が正しいと思っても、手を挙げて反対したら会議室の雰囲気が気まずくなりそうで、そのままうなずいて多数に従います。三つの場面はどれも、言うことがないからではなく、今の雰囲気を自分が守らなければと思って、言わなかったのです。

いつ強まり、いつ収まるのか

大勢が集まる場、とくに自分が雰囲気に責任を持っていると感じる集まりほど、いちばん長く口をつぐみます。和やかに見える関係ほど、その和やかさを壊す最初の一人になりたくなくて、ますます言わなくなるのです。逆に、相手のほうから「言いにくいことも気軽に言っていいよ」と言ってくれることがあります。実際に言っても関係が壊れないことを何度か経験すると、我慢していたことを少しずつ口にします。今の雰囲気を自分一人で守らなくてもいいと感じたときに、我慢していたことを言います。

よくある誤解は何か

人はこの人を「もともとおおらかで怒らない良い人」と見ます。本当に何とも思っていないのだと考えます。実際は何とも思っていないのではなく、不満を感じながらも、その場の穏やかさを守るために我慢しているだけです。外の笑顔は、気持ちが楽だからではなく、雰囲気を守ろうとする努力であることが多いのです。そのため、ある日静かに離れていくと周りの人は「何もなかったのに、なぜ?」と驚きますが、その人にとっては、長いあいだ不満を我慢してきた末に離れたのです。

何から変えればいいのか

その場ですぐに言えと言われても、この人にはできません。雰囲気が壊れる場面をまず考えてしまうからです。「これは今じゃなくて、あとで別に話そう」と、話すタイミングだけを軽く決めておくようにしてみてください。その場で真顔になる負担は避けながら、不満に思ったことをそのまま流さずに、あとで別に扱うこととして残しておく方法です。雰囲気を守るときと問題を話すときを分けておくので、雰囲気を先に気にかける人に効きます。ただし、この方法を、ぶつかること自体が怖い人に勧めると、効果が逆になります。その人は話すタイミングを決める瞬間からもう怖がっている人なので、「あとで」という言葉を先延ばしの口実にして、結局話さずに終わります。

この説明が合わない場合とは

言い争いになりそうな気配が見えただけで、雰囲気に関係なく体がこわばってその場から離れたくなるなら、守ろうとする気持ちより恐れが先に立っている場合です。そういう様子がはっきりしているなら、「もめたくなくて避ける」タイプを見るほうが合っています。不満そのものをあまり感じず、「大したことないのに」とそのまま流しているなら、「大したことないと流す」タイプに近いでしょう。

根拠: 自己沈黙の研究 (関係の平和のために自分の意見を言わないようにする特性を扱った研究)

TYPE 2 · もめたくなくて避ける

もめごとを伏せておく 2つ目のタイプ · 「先に緊張してしまう」

このタイプのもめごとを伏せておくはなぜ生まれるのか

この人は、衝突が起きる場面そのものを脅威として感じます。声が少し大きくなったり、言い争いになりそうな気配が見えたりしただけで心臓が先にどきどきし、考える前にその場から抜け出そうとします。雰囲気を守るために気をつかっているのではなく、ぶつかるときの緊張や気まずさに耐えにくいほうです。原因が和ではなく恐れだという点が要です。問題を口にすべきだと分かっていないのではなく、それを言い出す瞬間の緊張が怖くて、ずっと先延ばしにしているのです。避けるほど、言い出すのはますます難しくなります。今日言わなかったことは明日はもっと言い出しにくくなり、解決できなかったことは、話し合わずに距離を置くことでしか片づけません。連絡を減らし、顔を合わせることも減らして、そうして二人は静かに離れていきます。時間がたつほど言えなかったことが増えて、今ではそのうちの一つを持ち出すだけでも大きな出来事になってしまいます。そのため、ますます言い出せません。雰囲気を守らなければという責任感から我慢する人とは違います。この人は、その場の雰囲気を確かめる前に、ぶつかるときの緊張が怖くて、もうその場面を避けています。嫌なことをあまり感じない人とも違います。むしろ、この人はとても敏感です。感じるからこそ、その場面を先に避けるのです。

どんな場面で現れるのか

恋人がいつもと同じやり方で不満に思うことをするとき、言ってみようかと思っても、口を開く瞬間の緊張が浮かぶと言い出せません。結局話題をほかにそらしたり「疲れてるだけ」と言って、そっと話を終わらせたりします。家族が口を出しすぎても、その場で言い返さずに、黙って部屋に入ってしまいます。言い争うのではなく、その場を離れるほうを自然に選びます。チームの会議で違う意見があっても、反対した瞬間にみんなが自分を見る場面が怖くて、発言の順番が来る前からはらはらし、結局何も言いません。雰囲気を気にしたからではなく、ぶつかることを考えて先に緊張してしまい、言い出せなかったのです。

いつ強まり、いつ収まるのか

相手が怒っていたり声が大きくなっていたりして、言い返したら強く緊張しそうな瞬間に、口を開けません。その場ですぐ答えろと迫られるとき、逃げ道がないと感じるほど、そうなります。逆に、顔を合わせずに済むやり方、たとえば文章で伝えたり時間を置いて話し合ったりでき、言っても相手がかっとならないと安心できれば、少しずつ話します。

よくある誤解は何か

周りの人はこの人を「無関心」「興味がない」「さっぱりしている」と思います。衝突を前にして引くので、気にしていないのだと誤解します。実際は無関心なのではなく、衝突をあまりに大きく感じるので引いているのです。関心がないから静かなのではなく、ぶつかるときの緊張に耐えきれずに後ろに下がったのです。外からは冷静に見えても、内心ではその場面を長く思い返して、はらはらしていることが多いのです。

何から変えればいいのか

この人に「そのとき自分で言ってみて」と言うと、その場で言葉を考え出さなければという負担のせいで、結局何も言えません。言いたいことを、たった一文で前もって書いておくようにしてみてください。「さっきのあの言葉は、ちょっと嫌だった」くらいで十分です。そして、その一行だけをそのまま読むようにします。その場で言葉を考え出すのではなく準備した文を読むようにすれば、この人ははっきりと緊張が減ります。言うことを考え出す必要がなくなるので、恐れの原因が一つなくなるわけです。この方法を、雰囲気のために我慢する人に勧めても役に立ちません。その人は言うことがないから言えないのではなく、その場の雰囲気が壊れるのを心配して言わない人です。書いておいた文があっても、雰囲気を口実にして、結局その文を読みません。

この説明が合わない場合とは

嫌な思いをしても、怖いというより「今言ったら雰囲気が悪くなる」という判断が先に立って我慢するほうなら、恐れではなく和が理由の場合です。そういうときは「雰囲気を守るために伏せる」タイプを見るのが合っています。そもそも不満をあまり感じずにそのまま過ぎていき、あとになって気持ちがなくなっていたことに気づくなら、「大したことないと流す」タイプに近いでしょう。

根拠: 行動抑制の特性の研究 (危険や気まずさが予想されると行動を止め、衝突の場面から引く傾向を扱った心理学の研究)

TYPE 3 · 大したことないと流す

もめごとを伏せておく 3つ目のタイプ · 「不快さを大きく感じない」

このタイプのもめごとを伏せておくはなぜ生まれるのか

この人は、その時々の嫌なことを、そのたびに怒るほど大きくは感じません。「まあ、これくらいなら」と特に考えずにやり過ごします。気持ちが穏やかなほうなのはたいてい長所ですが、この場合はそのせいで、かえって嫌なことに気づくのが遅れます。一つひとつをとてもささいに感じるのでそのまま流すのですが、流したことが知らないうちに一つずつ増えていくのです。そしてある日ふと、相手への気持ちがすっかりなくなっていることに気づきます。大事なのは、この人には「我慢している」という感覚さえあまりないことです。ぐっとこらえて耐えているのではなく、そもそもそのことを「問題」として認識しないまま過ぎていくのです。雰囲気を守るために我慢する人とは違います。その人は不満をはっきり感じながら、その場の穏やかさを守るために我慢していますが、この人は我慢すべき不満そのものをあまり感じません。言い争いが怖くて避ける人とも違います。その人はとても敏感に感じるので引きますが、この人は鈍く感じるので見過ごします。外からは三人とも静かにやり過ごす姿が似ていますが、この人だけは嫌なことを強く感じないまま、相手への気持ちだけが少しずつ減っていきます。

どんな場面で現れるのか

職場の同僚が失礼なことを言っても、「もともとああいう人だから」と特に何も感じずにやり過ごします。我慢して笑っているのではなく、その言葉に特に傷つかないので、本当に何でもなく過ぎていくのです。友人がまた約束を取り消しても、「忙しいんだろう」とすぐに忘れます。何度目の取り消しかを数えていないので、同じことが繰り返されていることにも気づかないまま、その友人への気持ちだけがいつの間にか減っています。家族が口を出しすぎても特に気にならず、適当に返事をしてやり過ごすのです。避けるために部屋に入るのではなく、そもそも気になることがないので、していたことをそのまま続けます。どの場面にも「痛い」という感覚は生まれないのに、気持ちだけが静かに減っています。

いつ強まり、いつ収まるのか

一つひとつが小さくあいまいなほど、そして相手が悪気なくさらりと言ったことほど、簡単にやり過ごします。気持ちに余裕があり、生活が忙しいときほど、ささいな嫌なことにますます気づかずに過ぎていきます。逆に、「同じことが何度目か」を目に見える形で数えておけば、そうはなりません。基準を一つひとつの大きさから繰り返しの回数に変えた瞬間、ただ見過ごしていた嫌なことに、初めて気づきます。

よくある誤解は何か

人はこの人を「心が広くて、たいていのことは分かってくれる人」と見ます。どんな失礼にも動じないので、心が広いと思います。実際は、広い心で受け止めることとは少し違います。我慢して受け止めているのではなく、そのことがあまり心に引っかからずに過ぎていくのに近いのです。そのため、ある時点で関係から静かに気持ちが離れていても、本人でさえ「いつからだったんだろう」と、はっきりしたきっかけを挙げられないことが多いのです。

何から変えればいいのか

この人に「嫌だったらその都度言って」と言っても、なかなかうまくいきません。その瞬間には不満をあまり感じないので、言うことそのものがないからです。判断の基準を、大きさから回数に変えてあげてください。同じことが三回目に繰り返されたら、それがどんなにささいでも、必ず一度は指摘すると規則を決めておくのです。出来事がどれだけ大きいかで判断せずに「何回繰り返されたか」を数えるようにすれば、気づかずに見過ごしていた嫌なことに、初めて気づきます。嫌なことを鈍く感じるほうなので、かえってこうした目に見える基準が効きます。同じ規則を、ぶつかるのが怖い人に勧めると、その人は言い出す段階でつまずきます。回数がそろって「もう言う番だ」となっても、肝心のその一言を言う瞬間が怖くて、回数だけ数えておいて、言葉は口にできません。

この説明が合わない場合とは

やり過ごしてはいるものの、実は不満をはっきり感じているのに雰囲気が壊れるのを心配して抑えているなら、感覚が鈍いのではなく、和を優先している場合です。そういうときは「雰囲気を守るために伏せる」タイプを見るのが合っています。感じ方は敏感なのに、ぶつかる場面が怖くて引いてしまうほうなら、「もめたくなくて避ける」タイプを確かめてみてください。

根拠: 低い情動反応性の研究 (気持ちの変化が少なく、自分の主張をあまりしない特性を扱った研究)

もめごとを伏せておくについてよくある質問

Q. けんかしたくなくてやり過ごすのは、悪いことでしょうか?

選んでやり過ごすのは大人の態度です。嫌なことを全部持ち出したら、関係には良し悪しの追及しか残らないからです。問題は、全部をやり過ごすことです。見分ける基準が一つあります。同じ嫌なことが三回繰り返されたら、それはやり過ごすことではなく、向き合うべきことです。一度は偶然で、二度も偶然かもしれませんが、三度目はパターンで、パターンは伏せておいても繰り返されます。

Q. 言い出そうとすると心臓がどきどきして、言葉が出ません。

「もめたくなくて避ける」タイプの体の反応で、意志の問題ではありません。衝突の場面を脅威として受け取ることに慣れているので、考える前に避けてしまうのです。こういうときは、その場ですぐに言おうとしないことが方法です。言いたいことを文章にまとめて伝えたり、「明日ちょっと話せる?」と時間を前もって決めておいたりします。言うことを前もって準備しておけば、ずっと緊張しなくなります。

Q. 私は本当に大丈夫なのに、相手が何度も不満そうにします。

「大したことないと流す」タイプが見落としがちなところです。自分の基準では大したことでなくても相手にとっては大ごとかもしれないのに、おおらかな人は相手のそうした様子に気づきません。方法は自分の基準を捨てることではなく、聞いてみる習慣を一つ身につけることです。「これ、私は平気なんだけど、あなたはどう?」と一度聞いてみれば、相手が嫌な思いをしているかどうかが分かります。自分は平気でも、相手にまで平気でいろと押しつけないのが、本当のおおらかさです。

Q. 古い衝突がもうたくさんたまっているのに、今さらどう持ち出せばいいですか?

一度に片づけようとすると、大げんかになります。古いことは、過去の良し悪しを全部はっきりさせるより、これから守る決まりを作るほうで扱うのが安全です。「過ぎたことの良し悪しを全部はっきりさせたいわけじゃなくて、これからはこういうときはこうしよう」のように、これからのことを話します。過去のことは代表的な例を一つか二つ挙げるだけにして、次からどうするかを中心に話し合います。

この説明をどう受け取ればよいか

この文書は自己理解を助けるための行動パターンの説明であり、医療・心理の診断や相談に代わるものではありません。日常生活が揺らぐほどの困難が続く場合は、専門家の助けを受けることをお勧めします。

このページのタイプ説明は一般的な構造です。 測定を終えると、自分の気質の組み合わせで実際に表れたパターンと強度、自分に合う一歩が、個人向けの文書として提供されます。

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